2022年05月16日

「ドイツ中世都市・ゴスラー」公開講座報告

5/14に開催された、朝日カルチャーセンター立川の公開講座の報告です。
「ドイツの古都ゴスラー」の文化財と歴史を、教室とオンラインで紹介しました。ご受講いただいた方は、 5/21(土)まで何回でも、講座の全容をアーカイブ配信でご覧いただけます。ご希望される場合は、朝日カルチャーセンター立川へE-Mailアドレスをお知らせください。ご質問があれば、コメントにご記入ください。

画像1.png

第二次世界大戦で破壊された昔の街並みを復元している町が多いドイツですが、戦禍を免れたゴスラーでは、中世からの歴史を静かに語る建造物が軒を並べています。

IMGP5295.JPG

ゴスラーには、柱や筋交いの木組みを見せることにより個性を演出できる「木組みの家」が約1500軒あります。また、下のパン職人のギルドハウスのように、石造りの1階の上に木造の2階をのせる構法も多く見られます。

IMGP5622 (2).JPG

3階から上の壁には、ゴスラーの鉱山で採れるスレート(頁岩 Schiefer)が貼られています凝ったスレートの紋様が目を引きます。鉱夫たちの簡素な木組みの家の外壁をおおうスレートにも、職人の技と心意気が感じられます。

liebfrauenberg.JPG

liebfrauenberg2.JPG

鉱山が育んだ珠玉の町には、穏やかな時が流れています。

IMGP4921-001.JPG


<公開講座資料>

<参考文献とビデオ>

ゴスラーの中世建築を詳しく紹介している書籍のデジタル版(無料)のpdfファイル。ドイツ語ですが写真と図版が豊富なので、おすすめです。
Elmar Arnhold "Aus Stein gebaut"

19世紀初頭に撤去された11世紀建造のロマネスク教会の復元ビデオ
”Rekonstruktion des Doms zu Goslar”Technische Universität Clausthal クラウスタール工科大学作成

”Stadtrundgang Goslar” Berlin-av ゴスラーの見どころ案内ビデオ

ドイツ公共放送制作 世界遺産紹介ビデオ ARD Mediatek


posted by okabe yukiko at 14:38 | Comment(1) | TrackBack(0) | ドイツ世界遺産巡り
2022年04月23日

春爛漫・福島県立博物館

DSC00288.JPG

会津若松市にある福島県立博物館にて、4月16日から5月29日の期間「白磁の系譜」展が開催されています。開幕日、桜の下を散策しながら会場に向かいました。

DSC00189-001.JPG

博物館の建物正面と入り口。扉のガラスにも桜並木が映っています。

DSC00286.JPG

陶磁器の産地として400年の歴史をもつ会津本郷では、江戸時代に白磁の食器や花瓶の生産が始まりました。今回の展示では、会津本郷で作られた江戸から明治の磁器製品、1952年に会津本郷に窯を構えた磁器作家の瀧田項一の作品、瀧田項一の弟子である一重孔希の白磁作品と、時代の流れを追った白磁が並んでいます。

DSC00202 (2)-001.JPG

遠藤平太作の「染付菖蒲図大花瓶」。明治時代には輸出用の磁器の生産が盛んでした。

本郷 染付花瓶-001.JPG

会津の塩川町(現在は喜多方市)に1976年に登り窯を築き、2021年に他界するまで「魂をこめた白磁」を作り続けた一重孔希の作品のコーナー。白磁の大壷など彼の技量が際立つ作品が欠けていたのは残念ですが、主なき陶房に残されていた最近の作品を見ることができます。

一重コーナー.JPG

日常使いの器にこだわった一重でしたが、晩年には茶器にも取り組みました。鎬の線の潔さと優雅な形が際立つ水指です。

一重 鎬水指.JPG

好んで作っていた菊のモチーフの大鉢です。

一重 菊花大鉢.JPG

一重陶房がある雄国山麓から見た雪の残る飯豊連峰、夕日の残照が塩川町をうっすらと照らしていました。

DSC00370-002.JPG




続きを読む
posted by okabe yukiko at 15:28 | Comment(0) | TrackBack(0) | 会津の陶人・一重孔希
2022年04月06日

一重孔希の白磁・福島県立博物館 Porzellanausstellung im Museum Fukusima

2022年4月16日(土) 〜 5月29日(日) 福島県立博物館にて白磁の系譜展が開催されます。会津本郷焼の白磁と、故郷の会津で陶芸に精魂を傾け、昨年他界した「陶人・一重孔希」の白磁作品を見ることができます。

白磁の系譜.jpg

昨年は「ふくしまの焼きもの2〜会津本郷焼〜」展が開催されました。今回の展示はその流れをくむものです。下の写真は、展示品「染付山水図大鉢」江戸時代後期の作です。

DSC01852-001.JPG

県立博物館の入り口ホール。特別展「藁の文化」に合わせて、コメ作りを模型で説明する展示がホールに置かれ、小学生で賑わっていました。

DSC01916.JPG

鶴ヶ城公園の中にある福島県立博物館。散策も楽しめます。

DSC01921.JPG

一重孔希・追悼ビデオ

posted by okabe yukiko at 22:38 | Comment(0) | TrackBack(0) | 会津の陶人・一重孔希
2022年04月02日

壁絵・ポーランド Wandmalereien in Poland

IMGP0502-003.JPG

ポーランド西部にあるブロツワフの街角。窓の目が遠くを見ている。

IMGP0655.JPG

涙の窓。第二次世界大戦では、ドイツ軍とソビエト軍の熾烈な戦いにより多くが破壊された歴史を持つ。

IMGP0653.JPG

町を歩くと、もの言いたげな壁絵に出会う。窓たちは、今何を見ているのだろう、どんな涙を湛えているのだろうか。

IMGP0563-001.JPG

花屋の店先の花束にもウクライナ色が隠れていた。


posted by okabe yukiko at 10:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | アート
2022年04月01日

2022年春学期ドイツ語講座『ハーメルンの笛吹き男』Der Rattenfänger von Hameln

hameln0004.jpg

4月14日から始まる朝日カルチャーセンター立川のドイツ語講座では、グリム伝説集に収録されている『ハーメルンの笛吹き男』の再話を読みます。国際アンデルセン賞を受賞したリスベート・ツヴェルガーの挿絵は、映画のスチール写真を見ているような大胆な構図と繊細な表現で、中世の伝説を生き生きと蘇らせます。

単語帳の作り方から丁寧に説明し、ドイツ語の基本的なルールを理解しながら進めますので、初めてドイツ語に触れる方でも大丈夫です。テキスト文は、基本文に分解して読んでいきます。長く複雑な文でも、読みこなせることを実感していただけるでしょう。

隔週木曜日の 11:45 - 13:15 に、立川駅ビル9階で開講します。テキストの絵本は、朝日カルチャーセンター立川でご覧いただけます。詳しくは電話にてお問い合わせください。042-527-6511  朝日カルチャーセンター立川のウェブサイト

リスベート・ツヴェルガー Lisbeth Zwerger の挿絵を紹介しているサイトです。


posted by okabe yukiko at 22:42 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ語
2022年03月30日

「ドイツ中世都市・ゴスラー」朝日カルチャーセンター公開講座

5月14日(土)13:00~15:00、朝日カルチャーセンター立川で、ドイツの古都ゴスラーを紹介します。
朝日カルチャーセンター立川の公開講座 オンライン、アーカイブ配信もあります。

IMGP5686.JPG

ドイツのハルツ山地のへりに位置するゴスラーは、ヨーロッパ屈指の鉱山の富から生まれ、中世に繁栄を謳歌した都市。1988年まで千年以上にわたって採掘された宝の山、ランメルスベルク鉱山と古都ゴスラーは、1992年に世界遺産に登録されました。

IMGP5306 .JPG

この辺りは鉱夫地区。曲がりくねった石畳の細い道の両側に、低層の簡素な木組みの家が軒を連ねています。

IMGP5383-001.JPG

鉱夫地区から町の中心部に向かうと、広い間口を持つ立派な建物が現れ、一般市民や富裕層が住んでいた地区が始まります。赤レンガを組み込んだ木組みの家は、世界有数の企業であるジーメンス家の先祖が1693年に建てたもので、住居、ビール醸造所、事務所、倉庫を兼ねていました。

IMGP4728.JPG

町の中心の広場に面して建つ後期ゴシック様式のギルドハウス(1494年)。ハンザ同盟に加わり遠隔地貿易に携わっていた豪商の富を象徴する建物。

IMGP4978-001.JPG

ゴスラーは16世紀に鉱山の採掘権を失ってから衰退し、中世の街並みをを残したまま時が過ぎ、いぶし銀のように輝く往時の面影に町全体が包まれています。

IMGP4710.JPG

かつてゴスラーに聳えていたロマネスク様式の大聖堂の復元ビデオに往時の繁栄が見て取れます。


posted by okabe yukiko at 16:24 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ世界遺産巡り
2022年03月21日

気がつけばウクライナ色 Farben der Ukraine

春の明るい陽がさしこむと、拭き掃除に勤しむこととなる。汚れが急に見えだす季節の到来だ

身の回りにあったウクライナ色.JPG

正月におろしたツートンカラーのゴム手袋が、ウクライナ色をしている。戦禍に見舞われなければ、ウクライナの人々も復活祭前の大掃除にとりかかっていたはずなのに、拭くべきガラスは砕け散り、手袋をはめる手さえ傷ついている。

DSC09700.JPG
Michael Brehme "Blauer Hof" Weimar Possendorf 


posted by okabe yukiko at 15:05 | Comment(0) | TrackBack(0) | 暮らしの風景
2022年03月13日

ヒマワリが微笑む美術館 Sonnenblumen im Hundertwasser Museum

hundertwasser_blume-小.jpg

ヨーロッパアルプスの東端はウイーンの近くまで伸び、向日葵を栽培する畑はこの辺りから東に多い。ウィーンにある「フンデルトヴァッサー美術館 Kunst Haus Wien」を彩る向日葵の花

hundertwasser_庭 小.jpg

1991年に開館した美術館の中庭では、陽射しが大好きな人たちが植物に囲まれて憩っていた。
hundertwasser_hof 小.jpg

kunsthaus eingang-002.jpg

ウィーンで生まれ育ったアーティスト、フンデルトヴァッサーの作品を収めた奇抜な建物、美術館そのものが強烈なメッセージの塊。

kunsthaus-001.jpg

kunsthaus8 700.jpg

直線で出来たものは非人間的だという彼の考えのもと、美術館前の歩道も、内部の床も、外観もうねっている。

kunsthaus6-001.jpg

クラクラとしながら作品が展示されている空間を彷徨う。お手洗いも波の上を歩く感覚。

kunsthaus_階段-002.jpg

渦を表現する螺旋階段。ユダヤ系ながらもホロコーストを生き延びたフンデルトヴァッサー (1928-2000) にとって、渦巻きは植物のように成長する命の象徴でもあった。

hundertwasserhaus-002.jpg

美術館のそばに、自然への回帰を唱えたフンデルトヴァッサーの構想から生まれた市営住宅がある。どちらの建物もドナウ運河近くにある。命の源である太陽と水を彼は愛した。

hundertwasser_外観 小.jpg

52戸の住居、共有空間、屋上庭園を持つ「植物と一緒に生きる家」1986年に完成。

hundertwasser_駅 小.jpg

駅に貼られたフンデルトヴァッサーのポスターと、落書きが妙に調和していた。危うい政治的均衡の中にあるウィーンに、平和と人間性の回復を希求したアーティストの作品が今日も息づいている。



posted by okabe yukiko at 18:50 | Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ歳時記
2022年03月07日

遠い夏のヒマワリ Sonnenblumen im Weingarten

1999 Oggau Josef 小.jpg

1999年の8月、ハンガリー国境近くにあるオーストリアの村、オッカウのブドウ畑では、早生の品種 Bouvierの収穫が行われていた。秋になって収穫するBouvierは白ワインになるが、早摘みはジュースになる。真夏のブドウ摘みをヒマワリの花が見守っていた。

Weinlese 1 小.jpg

ブドウの木の列の間にはヒマワリの列がある。サクランボの木もある。「鳥たちが、ブドウの代わりにヒマワリの種やサクランボの実を食べるように」と畑の持ち主は話していた。空砲でホシムクドリをブドウ畑から追い払いながら餌を用意するという両面作戦。彼はいつも野辺の草木を手に帰ってきた。石壁の伝統家屋にヒマワリはよく似合う。

Weinlese 4 小.jpg

ブドウの収穫は一大行事。朝早くから、親戚や友人、近所の人が集まり一斉に摘み始める。秋になれば東欧からの出稼ぎの人々も参加して、もっと賑やかな作業となる。

Weinlese 3 小.jpg

隣人とその孫もお手伝い。収穫日を書いた黒板を持っている人が、この畑の主。

Weinlese Bouvier 小.jpg

ブドウ摘みが終わると記念写真を撮る。右端にスカーフを被った女主人、隣町のミス・ブドウ娘だった。

wimmer weinlese 小.jpg

1950年頃のブドウの収穫後の記念写真。中央に現在の当主の母親、その周りには当時の雇人や近所の村人。父親は村長の仕事があって、ブドウ摘みには参加していないようだ。

oggau 3-001.jpg

第二次世界大戦の末期、この村でソ連軍とナチの少年兵が戦った。女主人は妹とブドウの樽の下に隠れて、ソ連兵から逃れた。1989年、ハンガリーとオーストリアの国境が突然開かれ、多くの東ドイツの人々がやってきたのもこの辺りだ。冬にはシベリアから寒気が流れてくる。寒気が溜まる低地にはブドウを植えない。東に広がる大地と無関係には生きられない、いつもそういう感覚を抱きながらこの村の人々は暮らしている。ウクライナの戦禍にどれほど心が揺れているのか、ヒマワリが咲いていた遠い夏を想っているのは私だけではないだろう。

以前、この村のワイン農家の歴史と暮らしを追いました。

Flaschen Wein-002.jpg



posted by okabe yukiko at 22:30 | Comment(0) | TrackBack(0) | ヨーロッパ歳時記
2021年12月21日

ひのはらでアートに出会う Kunstprojekt in einem Wald in Tokyo

ひのはらアートプロジェクトが、12月29日まで東京都檜原村で開催されています。会場は、樋里4258番地の古民家と小沢4034番地の旧ガラス工場。Eine Kunstausstellung findet gerade im Dorf-Hinohara, Tokyo statt.

古民家の前「ヒージャ(沖縄の島ヤギ)を檜原村へ連れてきた」静かに見つめあう。
Zwei Ziegen aus Okinawa stehen im Garten eines alten Hauses.

DSC02210-001.JPG

古民家の奥座敷「霧を縫う」菅谷杏樹の作品 
Im alten Haus wird die Szene der Abwicklung von Kokons symbolisch dargestellt.

DSC02219-001.JPG

糸を吐き(口に含んだ繭から糸をひき)遠い営みの記憶の糸を手繰る。Eine Dame hat einen Kokon im Munde, aus dem sie einen Seidenfaden herauszieht.

DSC02220.JPG

ガラスコップの繭から天井に向かう糸が微かな光を放つ。Ein Spinnrad und Gläser mit Seidenkokon, was mich an leuchtendes Spinnennetz erinnert.

DSC02213-001.JPG

アートプロジェクト番外編 Mein Foto vom goldenen Spinnennetz. (keine Ausstellungsgegenstände)
「光を織る」女郎蜘蛛が出す糸は黄金色、檜原の杉山によく映える。

IMGP8042.JPG

撮影したのは蜘蛛の当たり年だった去年の秋、どこもかしこも蜘蛛の巣だらけだった。Im Herbst spannen Seidenspinnen überal und äußerst emsig.

IMGP8058-001.JPG

再びアートプロジェクト 旧ガラス工場「TOKYO KIKORI BROTHERS」深い山での杉の伐採。木が踊りながら倒れ、森が揺れた。Wieder zur Ausstellug. Videos, in denen Holzfäller Zederbäume akrobatisch schlagen.

DSC02224.JPG

同じ会場にひっそりと置かれていた藍で染められたテーブルと木皿(藍染家具Ao.作) Holzarbeit, die mit japanischem Indigo gefärbt sind.

DSC02228-005.JPG

懐中電灯の光で撮影。静かな佇まいに惹かれて、クリスマスカードにしてみました。
"ein Schimmer" Im Dunkeln habe ich das Werk mit dem Licht einer Taschenlampe fotografiert. 

Ein gesegnetes Weihnachtsfest!

posted by okabe yukiko at 23:29 | Comment(0) | TrackBack(0) | アート
2021年10月01日

初秋の浄土庭園 Paradiesgarten in Nordjapan

毛越寺 浄土庭園.JPG

透き通った風が奏でる調べが、水面を震わせていた平泉の秋。
Paradiesgarten vom Motsuji Tempel in Hiraizumi.

DSC07542.JPG

中尊寺境内にある白山神社能楽堂には、風と霧雨の記憶が刻まれている。
Verwitterte Noh-bühne im Freien. Chusonji Tempel.

posted by okabe yukiko at 22:13 | Comment(0) | TrackBack(0) | 日本の風景
2021年09月19日

朝日カルチャーセンター公開講座「ドイツ・クヴェトリンブルクを巡る」 Vortrag über die Welterbestadt Quedlinburg

木組みの家が並ぶ世界遺産の古都・クヴェトリンブルク Quedlinburg を、朝日カルチャーセンター立川にて紹介しました。クヴェトリンブルク レジュメ.pdf

ドイ ツ文化財保護財団 Deutsche Stiftung Denkmalschutz が、2020年に町をドローンで撮影した映像です。市庁舎に飛び込み、市長執務室の窓から飛び出たり、建造物の内部の様子も見せてくれます。

1994年に世界遺産に登録されたクヴェトリンブルクには、大きな商人の館から手工業者の小さな民家まで、中世から600年に渡って作られた1300を超える大小の「木組みの家」がよい状態で現存しています。下の家は、ドイツ最古といわれる木組みの家です。

14世紀の木組みの家blog.JPG

この14世紀に建てられた素朴な家 Ständerbauは、基礎から2階の天井まで1本の柱(通し柱)を用いています。この工法では長い材木を調達しなければなりません。一階部分と2階部分の柱を別々にすれば、短めの材木でも間に合うので、現存する木組みの家では通し柱はほとんど見られません。

富裕層の木組みの家blog.JPG

4階建ての富裕層の木組みの家。上の階がせり出しているので通し柱ではありません。

城の下に並ぶ職人たちの家blog2.JPG

城の麓に並ぶ小さな家々には、職人たちが住んでいました。

城と教会blog.JPG

市庁舎、教会、城などは、石造建築です。シュロスベルクと名付けられた高台には、10世紀に最初のドイツ王であるハインリヒ一世が居城を築き、墓所となった居城付属礼拝堂は、今はロマネスク様式の大聖堂となっています。

市庁舎前に立つローラント像blog.JPG

14世紀に建造された市庁舎前には、15世紀に作られたドイツで最古のローラント像のひとつが立っています。二回の世界大戦の被害が少なかったこと、旧東ドイツ時代に財政上の理由で古い建物にほとんど手が加えられなかったこと、ドイツ統一後に修復に力を注いだことによって、昔の佇まいを今に伝えることができた魅力的な町です。

fassade.JPG

ドイツの公共放送が制作した世界遺産のドキュメンタリー番組 "Schätze der Welt" のクヴェトリンブルク紹介です。冒頭のドローン映像より、ゆっくりと町を案内してくれます。(音声はドイツ語)


posted by okabe yukiko at 21:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | ドイツ世界遺産巡り
2021年05月21日

一重孔希展と偲ぶ会 Gedächtnisfeier und Ausstellung vom Kunsttöpfer Itscijyu Koki

4月29日に開かれた「一重孔希展」開幕のレセプションは、この日を待たずにに他界した一重孔希さんを偲ぶ会を兼ねることとなりました。ご参集くださった80名あまりの方々にお渡しした、非売品の作品展図録です。

DSC01218-001.JPG
左はチラシ、右が図録

DSC01224.JPG
図録の写真ページ(撮影:岡部由紀子)

kouki056-003.jpg

雪に覆われた陶房の庭の右端には、登り窯の屋根が見えます。梯子をかけて雪降ろしをしないと潰れてしまうと、一重さんは言っていました。

kouki046-003.jpg

登り窯の焚口、上には塩やお酒が供えられています。

DSC01228-002.JPG

一重孔希陶歴と寄稿文。白磁のついて書きました。「一重孔希の白磁」岡部由紀子 .pdf

DSC01243.JPG

偲ぶ会のために用意された大和川酒造の特別純米酒と喜多方シードルです。中央には5寸の陶仏。

DSC01238.JPG

純米酒のラベルには合掌する童子、喜多方シードルのラベルにはカワセミ。いずれも一重さんの絵。

DSC01011.JPG

ラベルの童子は、亡くなる直前にボールペンで描いたようです。陶房の祭壇には筆で描いた絵が飾ってありました。赤子に戻った一重さんが、再生を念じて手を合わせているように思えてなりません。

DSC00777.JPG

陶房の展示室に無造作に置いてあった絵は、ラベルの線描の元の絵かもしれません。眩い光を放って微笑んでいる姿を描いたのは、病の宣告を受ける前でしょう。手は座禅のときのように体の前で組まれているて、ラベルの絵のように合掌していません。女性にも子供にも僧侶にも見える穏やかな表情をしています。

DSC01241-001.JPG

もう一つのラベルには鳥が描かれています。1993年前後は、カワセミを描いた染付の器が多く作られました。長さ26cmの白磁の角皿はよく刺身を盛りますが、額皿として飾ってみると、鉄の縁取りが柔らかく鳥の絵を包み込んでいい感じです。

DSC01246.JPG

高さ49pの大壷にも、おおらかな鳥の絵が描かれています。染付を施した白磁の大壷は、一重さんの作品としては珍しいものです。染付があるので、花を活けなくても十分存在感があります。
反対に、絵柄のない白磁の大壷は、植物を活けると生き生きとして大きく見えます。自然豊かなところで、伸び伸びと育った草木でないと壷に負けてしまいますから、ちょうどよい枝を見つけるのは季節を選び、苦労します。

陶房を訪れると、いつも山の花を活けた白磁の花瓶が出迎えてくれたことが、懐かしく思い出されます。

一重さんの器をお見せしながらのトークが、北方風土倶楽部のサイトでご覧いただけます。https://www.youtube.com/watch?v=qacAKreEiV8

posted by okabe yukiko at 18:55 | Comment(0) | TrackBack(0) | 会津の陶人・一重孔希
2021年05月16日

一重孔希展閉幕

DSC01019.JPG

2021年4月26日から5月16日の期間、福島県喜多方市で開催された「一重孔希展・いのちの炎」が、閉幕しました。コロナによる自粛期間と重なったにもかわらず、千人の方が足を運んでくださいました。展覧会場の様子と、私も参加したトークが、北方風土倶楽部YouTubeで配信されています。

DSC00696.JPG

会場となった大和川酒造の昭和蔵は、昭和2年に建造された60坪の仕込み蔵です。1993年からイベントスペースとして利用され、オープニングには「一重孔希・作陶の世界」展が開催され、私の写真も壁面に飾られました。

DSC00997.JPG

28年後の今年、昭和蔵での一重さんの遺作展に再び写真を添えられたことは、感慨深いものがあります。右の写真は、1980年代末に陶房の庭に置かれていたテラコッタ製の高さ80pほどの「餓鬼」。

鬼灯と餓鬼-001.jpg

鬼灯(ほおずき)をくわえた「餓鬼」の出迎えに、思わずシャッターを切りました。その後、この像は消えてしまったので、一枚しかない貴重な記録です。「餓鬼」のシリーズを作りはじめた前年に、一重さんは酒井市の海向寺で即身成仏に対面したようです。

DSC01096-001.JPG

1985年撮影のロクロ仕事の写真。会津若松市の「企画映像ライフ」が提供してくださいました。天空回廊と呼ばれるスペースへ続く階段の前に並んでいます。

DSC01093-002.JPG

磁土をひく若き日の陶芸家の姿です。

DSC01092.JPG

天空回廊の酒瓶でできた手すりが映りこんでいます。

IMGP8708.JPG

魂の炎が手に…

田起こし.jpg

展覧会が終盤にさしかかるころ、会津盆地では田植えの準備が進んでいました。

田んぼklein.jpg

心地よい風に、田の水面が応えます。

会津盆地.jpg

陶房のある雄国山麓から喜多方に下る道からは、鏡のような水をたたえた田が見えます。

飯豊山.jpg

陶房近くから見える飯豊山の雪と白磁の白が重なり、幼いころから仰ぎ見ていた雪の白を手元の器に映すことに命を燃やした陶人、一重孔希が想われます。

Berg-Iide.2.jpg

あとひと月すれば、雪形がくっきりと姿を見せることでしょう。写真は、2012年、6月末の飯豊連峰。

飯豊山.jpg

最近届いた大和川酒蔵のパンフレットに飯豊山の雪形が紹介されていました。

飯豊連峰.jpg

宮古の蕎畑-001.jpg

飯豊山を望む畑(山都町の宮古)では、紅色の花が咲く蕎麦が満開でした。



posted by okabe yukiko at 09:57 | Comment(0) | TrackBack(0) | 会津の陶人・一重孔希
2021年05月11日

一重孔希展の羅漢と陶仏

喜多方市で開催されている地元の陶芸家・一重孔希遺作展には、白磁の作品に混ざって陶土を焼いて作られた羅漢たちが座っています。

IMGP8732.JPG

「いやあ参った」と、頭をかいている羅漢もいます。

DSC08779.JPG

この羅漢は、2018年の夏、ロクロ場に座っていた二体の羅漢のひとつと思われます。

DSC08774-001.JPG

ロクロ場の羅漢も、照れ笑いを浮かべていました。

DSC01152.JPG

展覧会場の床に座っている羅漢もいます。上の写真は1990年ごろに撮った陶房風景です。

IMGP8718.JPG

陶房の庭を思わせる演出は、会津若松のフラワーショップConohaさんの飾り付け。

DSC01178.JPG

穏やかに微笑む大ぶりの羅漢は、2018年の夏、陶房の庭にいた一体に似ています。

IMGP3397 3.JPG

口をとがらしている者やキセルをくわえている者、人間臭い羅漢たちの中央で、悟りを開いた羅漢が空を仰いで合掌していました。

IMGP3395 (2).JPG


IMGP3458.JPG

3年前の陶房には、千を超える羅漢がひしめいていました。

IMGP8723-001.JPG

展覧会場の奥には、陶房の床の間を再現したコーナーがあり、山姥を中心に羅漢が六体並んでいます。
作品展会場を映したビデオ https://www.youtube.com/watch?v=blcLJR5MW88

IMGP3442-002.JPG

陶房の床の間。掛け軸は、親交のあった詩人、会田綱雄が1984年4月に逗留した折に書いた「羅漢万象」。会田が羅漢と詠んだものは、陶仏と一重さんが呼んでいたテラコッタの像。

のどかな午睡.jpg

1980年代から1990年代の陶房の庭には、何千体もの陶仏が憩っていました。

陶仏群像.jpg


陶仏が生まれる瞬間.jpg

小さな陶仏なら30秒ほどで掌の中から自然に生まれ出てくると、一重さんは話します。

IMGP3755.JPG

おびただしい数の白磁、狛犬、陶仏、羅漢などが、この手から命を授かりました。

IMGP8660-001.JPG

陶房にかかっている暖簾は、染色家が40年ほど前に制作したもので、彼のふっくらとした掌が描かれています。

posted by okabe yukiko at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 会津の陶人・一重孔希
2021年05月09日

一重陶房・焼成前の狛犬

DSC00708.JPG

喜多方市のグリーンホテルの駐車場へ向かう通路には、一重陶房で拾い集めた磁器の欠片を埋めこんだ壁があります。喜多方在住の建築士、荒井裕人さんの設計で、施主自らの手で制作されたものです。

DSC00701-002.JPG

荒井さんは、長いこと素焼きもしていない粘土の一重さんの狛犬を持っていました。彫刻としての美しさ、線の切れ味を楽しみたかったのでしょう。粘土のままでは脆すぎるという一重さんの忠告で、後年素焼きだけはしてもらったそうです。私も、一重陶房で乾燥を待つ粘土の狛犬の柔らかなみずみずしさに、生まれたての命を感じたものです。

kouki071-1.jpg

おそらくこの狛犬が荒井さんの家に住み着いています。30年近く前、陶房の仕事場の前に干してありました。

kouki009-1.jpg

その脇では、日焼けした狛犬たちが、夏の西日を浴びていました。

kouki052-006.jpg

薄暗いろくろ場にも、作り立ての狛犬がひしめいていました。遠い日の記録です。

IMGP0190 (2).JPG

それから15年あまり経った2008年、ポジフィルムでの記録からデジタル写真に。ろくろ場には相変わらず狛犬がびっしり並んでいました。

猫も仲間入り klein-001.jpg

仕事場に隣接するギャラリーの外には、焼成済みの狛犬の群れ。猫も仲間入り。

DSC08714.JPG

仕事場とギャラリーの入った建物。いつ訪れても清々しい陶房の佇まいです


posted by okabe yukiko at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 会津の陶人・一重孔希
2021年05月05日

一重孔希展「命の炎」続報

福島県喜多方市にある大和川酒造で開催されている「一重孔希展」の会場を紹介する映像が公開されました。

今回は、作品に加えて一重陶房の一部を再現する展示となっています。

家具.JPG

陶房のギャラリーに置いてある皿棚も、展示会場にやってきました。

皿だなに春.JPG

これは我が家の松本民芸の皿棚。一重さんの器が並んでいます。彼がうちに来た折にこの皿棚が気に入って、これをヒントに自分の家具をデザインしたと思われます。

食器の勢揃い.JPG

魂のこもった器を、手仕事で沢山生み出した陶人でした。器の内側に文様を削り出すのは、手間のかかる仕事ですが、彼は好んで皿に絵を彫り、菊皿を制作しました。冴えわたる技のスピード感が作品にみてとれます。

写真のガラスに映る器.JPG

写真の額に白磁が映り、陶房風景に器が重なった一重ワールドが現出しました。

大和川酒造の蔵.JPG

展覧会場の受付の左手には、元酒造蔵があります。静謐な空間に吸い込まれるようです。

大和川酒造の入り口.JPG

大和川酒造の広い空間のあちこちで、一重孔希の作品に出会えます。

DSC00903-001.JPG

病を得て食欲のない一重さんには、塩甘酒が点滴替わりでした。

大和川酒造.JPG

弥右衛門酒は、代々受け継がれる当主の名前をつけたものです。


posted by okabe yukiko at 20:10 | Comment(0) | TrackBack(0) | 会津の陶人・一重孔希
2021年04月29日

一重孔希展「いのちの炎」開幕

展示会場入り口.JPG

作品展の準備に携わりながらも3月31日に力尽き、孤高の陶人としての生涯を終えた一重孔希さんの展覧会が、福島県喜多方市の大和川酒造の昭和蔵で4月28日開幕しました。会場には作品の展示に加えて、一重さんが世を去るその日まで暮らした陶房の様子の一部を再現しています。関係者の一人として、陶人の美の世界に少しでも浸っていただければと願っています。

餓鬼.JPG

仕事場に残された素焼きの白磁と道具類。釉をかける前の作品の造形美に初めて気づいたという声がありました。

展覧会場.JPG

右端には羅漢の塑像が3体、晩年の作です。机の上には、白磁、青磁、瑠璃釉の日用の器が並んでいます。

白磁の壺と裂き織.JPG

小学生の時に会津若松の骨董品屋で李朝の白磁に出会い、「子供の来るところではない」と叱られながらも店に遊びに通ったという一重さんは、白磁の大壷を得意としました。壷の下の敷物は、喜多方「れんが工房」の裂き織。

白磁面取り.JPG

鋭い線の面取りは、迷いのない技から生まれたのでしょう。

陶仏.JPG

手前の高さ15センチたらずの陶仏は、若いころから万の単位で作り続けたものです。奥には母屋の床の間の様子を再現した展示があります。掛け軸は、陶房に逗留した会田綱雄が陶仏たちに寄せた書。お面は、地元の祭りの面。

愛でる.JPG

展覧会には、陶房の情景を撮った私の写真も展示されています。

作品展スライドショー.JPG

展覧会場入り口そばでは、「一重孔希 あそび と しごと」という題で制作した、記録写真のスライドショーもご覧いただけます。



posted by okabe yukiko at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 会津の陶人・一重孔希
2021年04月18日

稀代の陶人・一重孔希

孤高の陶芸家、一重孔希の作品展「いのちの炎(ほむら)」が、2021年4月28日から5月16日の期間、福島県喜多方市の大和川酒蔵北方風土館にて開催されます。3月末日に一重さんは鬼籍に入りましたが、多くの友人の手で作品展の準備は進められています。
福島民報の記事民報 2021 4. 27..pdf  福島民友の記事民友 2021 4. 28. .pdf 

画像_20210418_0002.jpg
チラシ.jpg

一重さんは、福島県会津の塩川(現在喜多方市)で生まれ、小学生の時に会津若松の骨董品店で李朝の白磁に魅せられ、陶人の道を極めようと命を燃やし続けた人です。

DSC00544-001.JPG
2021年3月2日、作品展に出品するものを選ぶ。

DSC00487-002_2.jpg
陶房の居間に並べられた候補先品。この直後震度5の地震が来たが無事だった。

DSC00230-001.JPG
2020年夏、最後の焼成。窯出しされたものの整理は半ばでとん挫。

IMGP8295.JPG
2020年11月、庭に並んだ羅漢、陶仏、狛犬。

DSC08805.JPG
陶房の門番の狛犬は凛として。

IMGP3769.JPG
陶房に西陽が射すと、いつも作品は語りだす。

DSC00777.JPG
作品の展示室に残された一重さんの仏画。

IMGP3675-001.JPG
子供のころ、学校が終わると雄国沼の湿原まで山道を駆け上ったという。

DSC00473.JPG
自分と他者(草木や生き物、自然を含めて)との境がない不思議な世界に生きていた人でした。(2021年2月8日撮影)


posted by okabe yukiko at 16:37 | Comment(0) | TrackBack(0) | 会津の陶人・一重孔希
2021年01月26日

雪の一重陶房を訪ねて

会津盆地の北部に位置する喜多方市、喜多方駅から磐越西線で南に8kmほどはしると、塩川駅に着きます。そこで生を受けた陶人・一重孔希さんは1975年、27歳のときに雄国山麓に窯を開きました。

IMGP8512-001.JPG
1月末、広い会津平野をまっすぐに進み、起伏のある林の中の道を抜けて陶房に向かう道には、前夜降った粉雪が風に流されていました。

IMGP8500-002.JPG
白い田んぼは、塩の湖のように遠くまで広がっています。

DSC00362-002.JPG
陶房の庭に座る裸の羅漢は、半身雪に埋もれて寒そうです。

IMGP8477-003_2.jpg
狛犬が並ぶ展示室の前にも雪だまりが盛り上がっています。

IMGP8476.jpg
広い庭は、モノクロの世界です。

IMGP8425-002.JPG
玄関前には、雪かき用のスコップ。

IMGP8468.jpg
仕事場にかけてある釉薬の容器の底が、先ほど見た林の景色と重なります。

IMGP8422.jpg

ゴールデンウイークに一重孔希さんの作品展が開催される大和川酒造(喜多方市)も雪を被ってほっこりしていました。
DSC00477.JPG

DSC00478-001.JPG


関連サイト
facebook 北方風土倶楽部 https://www.facebook.com/NorthernMuseum/
posted by okabe yukiko at 00:00 | Comment(0) | TrackBack(0) | 会津の陶人・一重孔希